Thermalright VGAクーラー V1 ULTRA 温度評価


【環境概要】
CPU:Athlon 64 X2 4400+
CPUクーラー:忍者プラス
VGA:GALAXY GeForce 7900GT
M/B:ASUS A8N-SLI Premium
ケース:Gigabyte 3D AURORA
室温:21℃

【テスト内容】
リファレンスファン(購入時の状態だが、グリス塗り直し済み)、V1 Ultra ファンあり(標準の吹きつけ状態)、 V1 Ultraファンなし(付属ファンを取り外しシンクのみ)の3環境で、アイドル時と以下3つのテスト直後の温度を測定。
・アイドル. 温度が安定するまで20〜30分放置した状態
・テスト1. CPUラン(スーパーパイ の3355万桁で10分間実行)
・テスト2. GPUラン(ゆめりあベンチ を1024×768、最高で10分間実行)
・テスト3. 両方ラン(Battle Field 2 を1280×1024、all高、AAなしで10分間実行)
尚、CPU、M/B温度はASUS PC Probe II、GPU温度はドライバによる表示値。

【結果】
・CPU温度
 リファレンスファンV1 Ultra ファンありV1 Ultra ファンなし
アイドル
32
31
31
CPUラン
39
38
38
GPUラン
40
39
38
両方ラン
40
39
38
・CPU温度検証
V1 Ultraの放熱フィンがCPUクーラーの直近にあるため、せっかくGPUが冷えても、逆にCPU温度が上がるようなことがないか 確認のため行った。結果は、全て誤差範囲内と思われるため、どの環境においても変化なし。 ただ、気になるのが、リファレンスファンよりもV1 Ultra ファンあり、V1 Ultra ファンありよりもV1 Ultra ファンなし の方が(つまり表の右側になるほど)、室温がコンマ数度上がっていたのだが、CPU温度は逆に下がっていること。 誤差範囲内とはいえ、全てのテストで下がるということは何かあるのだろうか。リファレンスファンによって かくはんされていたエアフローが改善され、CPUクーラーを効率よくフレッシュエアーが流れるようになったと推測しても いいかもしれない。

・M/B温度
 リファレンスファンV1 Ultra ファンありV1 Ultra ファンなし
アイドル
33
32
32
CPUラン
34
33
33
GPUラン
36
34
34
両方ラン
35
34
34
・M/B温度検証
PC Probe IIで表示されるので、せっかくだから同時に測定してみた。これはどこを測ってるのか知らないが (サウス?)、CPUと同じように表の右側の温度が低いという結果になった。VGAクーラーを変えただけでM/B温度まで 下がるのだろうか。理由が見当たらない。ケース内エアフローの改善?う〜ん・・・。 カシオのプロトレックというアウトドア用腕時計で室温を測ったのだが、それがまずかったのだろうか。 いずれにせよ、測定環境を考慮すれば誤差範囲内であるため、CPU温度の結果と同様にどの環境においても変化なし。

・GPU温度
 リファレンスファンV1 Ultra ファンありV1 Ultra ファンなし
アイドル
43
35
39
CPUラン
43
38
39
GPUラン
62
44
55
両方ラン
50
41
45
・GPU温度検証
さて、ここからが本題。CPU、M/B温度は空振りだったが、VGAクーラーを変更すれば、 GPU温度はさすがに誤差範囲内にはとどまらない。結果は一目瞭然だが、想定外だった。 「V1 Ultra ファンレスは、リファレンスクーラーより冷える」という事実。 冷却装置に詳しい人にとっては想定内なのだろうか?自分にとっては意外な結果だった。 一生懸命働いて「シャーーー」とうるさい音をたてるものよりも、無動力無音のものの方が冷えるのである。 注目テストはアイドル時とGPUラン。V1 Ultra ファンありでは、ゆめりあを10分回しても44℃。 この温度は、以前の環境(リファレンスファン)ではアイドル時のものである。今回の評価でも上の表より43℃となっている。 冷え冷えなのもいいが、定格使用している自分にとってはリファレンスより冷えるならファンレスで即決。

【後記】
ここまで好結果が出たのは、今回のPC構造がV1 Ultraと相性がいいということも一因にあるかもしれない。 CPUクーラー忍者プラスからケース背面120mm排気ファンへのエアフロー。この流れの近くにV1 Ultraの放熱フィンがある。 横向きCPUファンの利があったかもしれない。しかも、背面ファン2つのうちの1つは放熱フィンとの距離がわずか20mm程である。
しかし、組み込みに関するケースとの相性はよくなかった。V1 Ultraのファンがケース背面ファンと当たる。ちょうど当たる くらいなのでなんとか組み込めるが、動くもの同士であるファンとファンが当たっているというのは、 長期使用するにはなんともよろしくない。 ファンレスにしてしまえば、もちろん干渉しない。 また、PCIブラケットをワンタッチ固定する機構がケースにあるのだが、これの取っ手がV1 Ultraの放熱フィンに干渉する為、 固定機構ごと取り外さなければV1 Ultraは組み込めない。これによってワンタッチではなくなってしまった。
メモリ冷却に関しては、他の対応VGAの殆どは「メモリヒートシンク必須」と書かれていたが、7900GTの欄には書いてなかった。 しかし、付かないというわけではないのでもちろん付けた。
そして、要注意なのが付属の"静音タイプ"80mmファン。これは静音ではない。リファレンスが「シャー」なら、これは「ブーン」。 少し低音気味(モータの音?)。音質こそ変われど、音量は変わらない気がした。少なくともリファレンスファンより静音化したいなら、 ファンレス化か、ファンを別途購入する必要があると思われる。ケースファンと当たっているせいかもしれないが、 付属ファンはうるさいとの情報は他からも得ている。
冷えるし静かになるし良かったです。ただ、5,800円(2006/5/10時点)もしたのでそれなりの効果が出てくれないと 困るんですけどね。


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